私は、お父さんに電話をかけた。
どうやらもう家に帰っていたようだ。
友達の家に泊まると言ったら、すんなりとOKが出た。
相手の名前も聞かない。
ま、そんなもんだよね。
綾のママを抱いた日に、佳世さんを抱くんだ。
汚い男。
男なんて信じられない。
この世で信じられるのは、拓登ただ1人。
「ずっと、寂しかった。ひとりぼっちだった。だから、拓登が居場所をくれた時、本当に嬉しかった」
「鈴音はいつからそんなに素直な女の子になったんだ?会った時よりずっと素直じゃん」
そうかな。
変わったかな、私。
弱音を吐ける場所があるってこんなにも幸せなんだ。
誰かが私を待っているってことも、今までに感じたことがない安心感だった。