「今日、家帰れるか?」



拓登の問いかけに、ただ黙ってうつむいた。




正直、顔も見たくない。


お父さんなんて大嫌い。






「家に連絡しろ。朝まで一緒にいてやるから」



拓登は、私の鞄の中に手を突っ込んで、携帯を取り出した。






「朝まで?」


「ああ」


「いいの?」


「今日だけ特別」




にっこり笑った拓登に、ありえないくらいときめいた。


いじわるを言ったり、優しくしてくれたり、怖い顔したり、かわいく笑ってくれたり。