単調な寝息が聞こえ始め、俺の手を握った手の力が抜けるのがわかった。
気持ちよさそうに、眠る愛姫。
別に体調も悪くなかったのに、寝てしまう辺りが子供っぽいよな(笑)
寝顔をもう一度見直し、グッタリとうな垂れてしまった。
俺、何してんだ?
怒りに任せて、愛姫の手を引っ張って部屋に連れ込んで……あれは、ないだろ。
だけど、あんな男の事で目を潤ましたり。
顔を赤くしたりするのが悔しかったんだ。
何で、俺じゃ駄目なわけ?
年下だからか?
いや、それ以前の問題か……。
俺は、もしかしたら……って。
俺の事、好きなのかって。
って、普通キスされたら思うだろ!?
それなのに愛姫は、俺が質問しても、ちゃんとした答えを言わないし。
斉藤とかいう、金持ち坊ちゃんと楽しそうに話してるし。
だから。
だから…じゃないよな。
それでも、キスなんかしちゃ駄目だった。
あんな事しちゃ駄目だったんだ。