「人込みに酔ったんじゃないっすか?
俺、そばについてるんで陽呂さんは行って下さいよ。
何かあったらスグ呼びますから」



助け舟を出す様に、にこやかな笑顔で言う碧君。



「そうか。でも悪いな。
うん、碧に任せれば安心だしな……頼むよ」



いやいやいや、パパ!



今はパパの目見れないし、行ってくれた方が嬉しいけど。



碧君に任せるのは間違ってると思う。



こうなった原因は、パパの信用した碧君なんだよっ!

パパ見る目ないよ!?



「だっ、大丈夫。1人で…」



そう言ったのに。



「愛姫、遠慮しないでいいよ。
俺、パーティーとか慣れてないから抜けれて助かるし、ねっ?」



なんて普段聞いた事もない声で、笑いかけた。


それを見て安心した表情を見せたパパは

『寝てるんだよ?』

と優しくあたしの頭を撫で部屋から出て行ってしまった。



パパぁぁぁ~!



パタンと閉まったドアに鍵をかけると、

ゆっくり振り返った碧君の顔は、いつもの意地悪な笑顔だった。