「碧君、来てくれたんだねっ」



気付くと俺の横でニッコリ微笑んでる愛姫。


なんだよ。
無視ばっかしてたくせにさ。



「あ、そうだ。向こうにね、美味しい…」

「愛姫さん」



愛姫が話そうとするのを、遮る声が後ろからした。



「はい? あ、斎藤さん。この間は、ありがとうございました」



そこには。
いかにも金持ちの坊ちゃんてなりの男がいて、愛姫も満面の笑みを見せた。



「いえいえ、こちらこそ。
遅くまでお付き合い頂いて。
あ、今大丈夫ですか?」

「えっ、あ…」

「じゃあな、愛姫」



一瞬、俺を見上げた愛姫に背中を向け歩き出した。


だからパーティーなんか来たくないんだ。



愛姫と俺は住む世界が違う。



川合家のパーティにくればわかってた。

今まで嫌ってくらい見てきた。

愛姫は、あんなでも“お壌様”だってこと。


なのに、どうして俺は来たんだろう。


少し離れたベンチで、1人座っていると流湖さんが隣に座った。