琉湖の肩を両手で押し、今の今まで感じていたいと願った温もりを自ら離した。



「せん…せい?」

「……悪かった。ほら、帰りなさい」



“教師”の俺。



優しく、でも厳しい口調で言う。



俺は“教師”、お前は“生徒”



これは変えられない事実。


流湖が、本気じゃなくても、この関係に酔っていたとしても。

それでもいいから……。



ここまで思う俺は、限界まで来たのか?



これ以上、隠し通せない。


だから、もう俺の中に入って来るな。


助手席のドアが開く音を聞きながら、運転席の窓を開け、煙草を加えて火を点けた。