俺の背中にそっと回る細い腕。


え……。



「何かあったんですか?」



優しい声。



「いいよ。先生が落ち着くまでこのままで」



はっ。



子供みたいな駄々をこねた俺をきつく不器用に包む。

でも今は、それが気持ちいい。



「あ……ごめんなさいっ。嫌でしたか?」



ふと顔をあげた流湖は、俺の腕の中で頬を真っ赤に染めた。



「んー。気持ちよかったけど」

「ふぇ?」

「ぶはっ。マヌケな声」

「なっ!」

「お前さっきから言葉になってねーし」



余りにも慌てる流湖が可愛くて、笑ってしまう。



「そっ、それは先生が変だから」

「変?」



コクッと頷き、



「英語の先生と何かあったんですか?」



心配そうな声で聞いてきた。