角を曲がれば保健室。

勢いよく曲がった俺の目に飛び込んで来たのは、流湖を抱えた、栗野の姿だった。



「あ、先生」



その一言に、乱れた息を整えるかのように大きく息を吸った。



「あ……あぁ。鍵だろ?」

「はい、すみません。
お願いします」



冷静を保つふりをしながらも、鍵をもつ手が微かに震えている気がする。




「顔色が悪いな」



そう呟いた俺を、流湖をベットへと寝かした栗野が俺を見つめる。



「最近、何だか変だったんですよ」

「え?」

「授業をサボったりしてましたし」

「……そう」

「先生、何か知りませんか?」



一瞬、驚いた顔をしたのを見られてしまった。


その表情に気付いたのか、



「……気を持たせる様な事は止めて下さい。
苦しんでいる理由は先生のせいですよね?」



そう言うと、

流湖の荷物を取りに行くと保健室を出て行ってしまった。