「失礼します」



職員室の扉を開け、橘先生を目で探した。



あ、いた。


例え違う席に座っていたとしても見つけれてしまうんだ。


私は、どれくらい先生の背中を見続けていたんだろう?


私の足は驚く程、速く先生の元へと向かった。



「……橘先生」



振り返った先生は、どんな顔をするんだろう。



驚いた顔?

困った顔?

焦った顔?



「何ですか?」

「え……あ、判を貰い忘れていたんです」

「あぁ、はい」



私から用紙を受け取り、引き出しから出した判を押し、最後に『ご苦労様』そう用紙を手渡した。