「山口さん、これ橘先生の判抜けてるんだけど」

「え? あ、これは会計の……休みですか?」



放課後、生徒会をさすがにサボる事の出来なかった私は、雑務をこなしていた。


先生の姿はなくてホッとしていたのもつかの間。


会長から手渡されたプリントには橘先生の判が抜けていたんだ。

担当の会計は風邪で休み。

会長に頼まれた私は、重い足で職員室へと向かっている。



モヤモヤした黒い霧でもかかったような心の中。

とは裏腹に、ドキドキと高鳴る心臓。



自分で自分の気持ちがわからない。