「・・・この前・・・」


「喧嘩してて、澄子が俺の教室来たとき?」


何も発しずにコクンと頷く。


首を縦に振ったことで、目に溜った涙が頬に垂れた。


その瞬間大好きな匂いに包まれた。


「猛・・・」


抱きしめながら猛は私の髪にキスを落とす。


「もったいねぇ事すんな。誰が捨てて良いって言った?」


「た・・・ける・・・」


髪を撫でながら私の話に耳を傾ける。


「食べてくれるの?」


「・・・たりめぇだろーが。」


「・・・また、作っても・・いい?」


「ああ」


猛のあったかい胸に体をあずけると、猛はぎゅっと抱きしめながらずっと髪を撫でてくれる。


「・・・美味しい?」


「ああ」


ちゃんと言って?猛の口から聞きたいの。


猛の胸から顔を上げて、猛の顔を見る。


目が合うと、私の気持ちを分かったように彼は言ったんだ。



「弁当、うまいよ。また食わせて。」