朝5:00。


眠い目を擦って、久し振りに猛専用のでっかいお弁当箱を取り出す。


いつもより丁寧に作る。お弁当用のレシピを片手にゆっくり確認しながら。


猛を想って、猛が美味しい。って言ってくれるのを妄想して。


沢山作ったおかずの中で、一番上手に出来たものを詰める。



猛はあんまり野菜が好きじゃないから、小さく刻んだ野菜を包んだオムレツ。


猛が一回笑った足がいっぱいのタコさんウインナー。今回はちゃんと足の数だけ筋をいれて・・・


肉団子も、綺麗に丸く作れたのだけ厳選して・・・



「出来たぁ!」


5時から作り始めたのに、気が付いたらもう6時。


でも、いっぱい時間掛けたから今日は自信作。



作り終わったお弁当を、百貨店で見つけて即買いしたペアのランチトートにお弁当を入れる。


久し振りに持つ二つのお弁当。


最後に作ったお弁当はトイレのゴミ箱に眠ったんだ・・・。あの女の子の言葉を聞いて、恥ずかしくなってトイレのゴミ箱に捨てたの。


その後すぐに、猛用のお弁当箱を買ったけど、作る勇気が出なかった。



ようやく新しく買ったお弁当箱を使う事が出来た。



「猛・・・喜んでくれるかな?美味しいって・・・言ってくれるかな?」



小さな期待を胸に、私は学校へ行く準備を始めた。