少し走り出すと、やっぱり風が冷たい。


私はかろうじてコートを着ていたけど猛はブレザー一枚。


それじゃあ寒いに決まってる。


「・・・あっ」


何やってるんだろう。手に持っている紙袋に目をおろす。


今日、猛にプレゼントしようとしていたマフラー。


ゴソゴソと紙袋から取り出す。


赤信号で止まっている猛の首にそっとマフラーをかけてあげた。


「?」


少し驚きながら猛がゆっくりと振り向く。


「温かい?」


ニコっと微笑むと、猛も柔らかく微笑んでくれた。


「すっげー温けー」


チュッと軽いキスを交わして、再びバイクが走り出した。


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「ふっ・・・あ、猛っ」


久しぶりに感じる猛の体温、重み。


「やっべ、久しぶりだからもたねー・・・」


懐かしい匂いがする猛の部屋。


何にも変わっていない。


変わったと言えば、勉強机に教科書や参考書が広がっているくらい。


ただ、そんな部屋をじっくり観察もしないうちにベッドに押し倒されてしまったんだけど・・・


猛の額に垂れる汗にそっとキスをする。


「澄子、背中に手・・・回せ」


言われたとおりに背中に手を伸ばして、ギュッと抱きしめる。