本当は、ずっとそう言って欲しかったの。


別れる事が猛の負担を軽くするんだって分ってても・・・


本当は、別れるなんて耐えられなかったの。


猛のことが本当に好きなら、理解しなきゃいけないんだって。


好きなら我慢しなきゃいけないんだって。



でも全然理解なんて出来てなかったの。


私はまだまだ子供だから、好きだからこそ別れる・・・そんな事できなかったの。


「勝手に突き放したのに、今更かもしれねぇけど・・・」


ブンブンと首を横に振る。


「これからもしかしたらまだまだ辛い思いさせるかもしれない」



更に大きく首を横に振る。


涙はどんどん溢れて零れていく。


「それでも・・・」


ぎゅっと、私の涙で濡れた手のひらを握る。



「待ってて欲しい」


違うな、っと言って更にギュッと力を込める。


「俺の受験が終わるまで待ってろ」



久しぶりに見た、猛の凛々しい顔。


迷いなんて一つも無くて、真っ直ぐに私の瞳を見つめている。


私に選択肢なんて無いよね?


だって猛が待ってろ、だって。


そしたら返事なんて一つしかない。





「・・・・はい」


私はそう言って、猛の背中に腕を回した。