本当は怖かったのかもしれない。


“待っててくれ”


そう言って澄子を待たせたとしても、


俺が構ってやれないうちに他の男の元へ行ってしまうんじゃないかって。


俺に愛想をつかして離れて行ってしまうんじゃないかって。



なら逆に“待っててくれ”なんて言わずに、別れてた方が良い・・・



そしたら俺も澄子も傷つかない。



そんな風に思ってた。



でも違うよな・・・



“それはお前のエゴだよ”


“やってる事が中途半端なんだよ”


本当、周りの奴等に言われなきゃ分らなかったかもしれない。



結局自分勝手に澄子を振り回しただけだった・・・。



“別れよう”


なんて言ったくせに、目はいつも澄子を追いかけて。



他の男といるのを見ればイラついて。



クラスの女と一緒にいる所を澄子に見られると“嫉妬してるのか?”



なんて期待を持ったりして・・・



なんて女々しい男なんだろうと何度思ったか。



情けない程あいつが愛しくて、


情けなく程あいつが好きだ。



もう格好悪くてもいいよ。



“俺が大学受かるまで、何年でも待っててくれ”


そう・・・伝えるから。