「普通に受験する位なら、別れなくてもいいんだと思う」
「・・・」
「ただ、俺の場合は今までの分も取り戻さなきゃいけないからな」
猛自身、そんなに頭が悪いわけではない。
ただ、学校をサボりがちで成績も良くない・・・
まして、高校の勉強なんてしている所を見た事が無かった。
「最近なんて家でも勉強漬け・・・」
「・・・!」
その言葉を聞いて思い出した。
最後に猛の家に行ったときに、猛が机に隠した物・・・
すごく違和感があったのは、
「勉強道具だっ!」
普段そんなもの、猛の部屋で見たこと無かったから違和感を感じたんだ!
「ねぇ、猛?私受験中なら待ってる。それでもいいでしょ?」
会いたいなんてワガママも言わないし、
きっと、ちゃんと応援できる。
あの猛が勉強して、大学って目標まで持ってるなんて。
「・・・」
絶対にいいよって言ってくれると思ったのに・・・
猛は困った顔をしたまま黙ってしまった。
「どうして?私ワガママ言わない。邪魔もしない」
すがるように見つめても、猛は黙ったまんま。
何で?
どうして別れなきゃいけないの?