3年になり、順調に進んでいく毎日
猛とは1年ちょっとの時間を一緒に過ごしている。
「え?また?」
順調に進む毎日の中で、少しずつ変わり始めているのは
「あー悪い」
私達の距離だった。
「ちょっと調べ物あるから先帰ってろ」
そう言って、猛が学校に残る事が多くなった。
その度に、日差しが強くなってきた道を一人で帰る。
「もう、夏に入るのかぁ・・・」
ボーっと太陽を見ながら立ち止まり、振り返る。
「猛・・・?」
「ハァ、追いついたな」
優しく微笑んだ猛は、太陽の光を浴びてキラキラしている。
「調べ物、は?」
「あー。適当に持って来て家で見る」
当たり前のように繋がった手に、安心感が生まれる。
「最近お前といる時間あんまり取ってなかったよな」
猛がそんな風に言ってくれるなんて、すごく嬉しい事なのに
「・・・いつも何調べてるの?」
結局毎日のように聞いてしまうこの質問。
でも、この質問をすると猛は黙ってしまうんだ。
「・・・」
最近多くなったこの沈黙。
何かが崩れ始めているような気がして怖い。
私が猛を想う気持ちは変わっていない。
むしろ、大きくなっている。
っと言う事は、猛の気持ち・・・が?
そんな答えに繋がり、不安になって猛を見上げると大きな欠伸をしていた。
欠伸を終えた猛は、ボーっと何かを考えてるみたいだった。