_________________________
・・・遅い。
いくらなんでも遅すぎる。
屋上で澄子を待って30分。
“おかしい”
なんて、思うわけも無かった。
自分の毎日通っている高校で、何かあるわけも無い。
俺は単に友達とでも喋っているんだと思い、教室に戻ることにした。
「・・・ッたっく。戻るならそう言えよな?」
吸っていた煙草を消し、屋上を出た。
その時に、香った・・・嗅いだことのある、嫌なにおい。
その匂いは屋上へ続く階段付近に漂っていた。
・・・
これはあの女たちの香水の匂いだ。
なんでこんな所で匂う?
・・・たまたまここで喋っていた?
・・・たまたま今、ここを通っただけかも。
・・・でも、
なんか嫌な感じがする。
「澄子?」
不意によぎった嫌な予感。
「澄子」
気が付いたときには、足が勝手に走り出していた。