カツンっと音を立てて、廊下に落ちた指輪。



マジあいつら無いし。



構うと余計に調子に乗ると思って、しかとし続けてきたけど、もー限界だ。


うぜーんだよ。


触るな。



俺にも、


指輪にも。


「澄子」


屋上に連れてきた澄子の背中をさする。



“早く付けて!!”


こいつがあんなに大きい声を出すのは珍しい。


いつものギャーギャー騒ぐ声とは違う、泣き叫ぶような。


「猛・・・」


こいつはいつも甘えてはくるが、今はいつもの3倍はくっついてくる。


再びはまった指輪をずっと撫でている。


少しくすぐったい感覚。


「澄子、くすっぐってーんだけど」


「エヘヘ、なんか猛がペアリングしてるのって、未だに変な感じがして」


ふにゃりと笑い、胡坐をかいている俺のひざに頭を乗せ、寝っ転がった。


「・・・俺が、膝枕して欲しいんだけど。」