ポロっと涙がこぼれた。
「お前らマジでふざけんなよ!!」
落ちた指輪を拾いながら猛が先輩達にそう怒鳴ると、先輩たちは納得のいかなそうな顔でその場を去った。
「澄子」
教室の中からそれを見てた私。
猛の手の中にはまだ指輪が入ったまま。
「それ、付けて!」
「あ、あぁ・・・」
「早く付けて!!」
猛の薬指におそろいの指輪がハマって無いなんて、嫌だ・・・嫌だ・・・!
「付けた。付けたから泣くなよ」
そう言って、猛は私を抱きしめる。
まだ休み時間で人も沢山いる中、私達は注目の的。
傍からは“いいな~”とか、“私も抱きしめられたい”とか。
ダメだもん。
猛に抱きしめられるのは私だけだもん!
「澄子、泣くなって」
「うぅ・・・」
「次、さぼるか?」
猛が珍しく優しくしてくれる。
コクンと頷いて、猛に手を握られながら教室を後にした。