「猛もちゃんと言ってよ!」
「言ってるよ、耳障りだから寄ってくんなって。」
・・・そこまで言ってるのに近寄ってくるあの人たちって・・・
強い。
「ま、俺はあいつらなんか目に入んないけど?」
意地悪そうな顔をして私の顔を覗きこむ。
「・・・うう」
猛はずるい。
そうやってすぐに私の嬉しい言葉を言うんだから。
「・・・絶対だよ?」
「ん」
一つの傘の中で、お互い傘からはみ出てるから肩はビショ濡れで。
もちろん私がはみ出ないように猛が肩を抱いてくれてるんだけど。
もう肩が濡れてるとか、ここがどこかとか・・・そんな事も忘れて、道端でキスを繰り返す。
制服がビッチョリで気持ちが悪い。
だけど唇からくる猛の感触が気持ちくて・・・
「・・・俺んちで服、乾かしていけよ」
少し離れた唇から猛がそういった。
なんだか無性にドキドキして、いつもなら「行く行く」と大はしゃぎするのに今日はただ頷くことしか出来なかった。