ガタッ…

後ろの方で音がした。


…マジかよ。
見られちまった。



「誰?」

私は後ろを振り向かずに、ドスの利いた低い声を出した。


すると、また物音がして男の声がした。


「軌跡(キセキ)。」


私はその男の名を呼んだ。


見られたのが、軌跡でよかった。