その静かな空間に…泣きたくなった。

どうしようもない子供みたいに泣き喚きたかった。

「俺…小さい頃から静かな場所が怖かった。勉強する時はいつもガンガン音楽かけてた」

「…成績上がらなかったでしょう?」

毒舌だが、相槌を打ってくれた彼女。

「あぁ。…家には那瑠も母親もいた。話し相手が居た。
でも、父親が死んだ時、母親が狂って。
…逃げ出した。」

泣かないと思ったはずだったけど、俺は彼女の手を握って、額に持っていく。