わざわざずっと母親を看てる俺を心配して、彼女は来てくれた。

休憩室に座る俺を見て、声を掛けてくれた。

俺は…感謝の言葉もまだ述べていない。

ただ、現実感のない現実が目の前に起こってる様だった。

今、母親には那瑠がついている。
良壱も一緒にいた。

さっき買ったばかりの冷たいコーヒーを飲んでいない。

「……俺」

何故だか、それを飲む事より言葉を声にする方を選んだ。

彼女は相槌は打たず、手だけは握っている。

深夜の休憩室にエアコンが動く機械音だけが聞こえる。