思い出す。

あたしや羽瑠が嘘を吐いて学校を休んだ時とか、些細な事で大喧嘩した時とか…怖かった。

「喧嘩した時とかさ、頭冷やしなさいって水かけられなかった?」

「出された!冬の日なのに、冷水浴びせられた!」

笑う羽瑠。
つられて笑ってしまう。

「…良かった」

あたしは呟いた。

「良かったな」

「そこは期待に添って『何が?』で返してくれると嬉しいんだけど」

「はいはい、何が?」

期待に添えてくれた羽瑠は、こっちを向いた。

「こうやって、お母さんの話題で話が出来る人がいて」

すっかり晴れた青空に言葉が吸い込まれた。