「彼女は言うなって思った。あの女、絶対身内が死んだら悪口からするタイプだ」

「君のノロケを聞きに来たんじゃないよ」

「わかってる。料理だよ料理」

確かにそうだった。

卵焼きはいつも黒かったし、ご飯を炊くとまだ芯が残ってるし。

「…でも、いつも作ってくれてた」

懐かしむような口調で言うから、悲しくなる。

お母さんとはもう話せないんだ。

そう実感するから。

「ピアノは上手かったよね」

「何だって弾けたしな」

幼い頃は一日に何曲も弾いてくれた。

「俺等が悪やったら、マジで怖かったけど」