予想していた病院の非常口には、羽瑠がいた。

彼女の姿はなく、

「彼女は?」

聞いた。

案の定、驚いた羽瑠はあたしの方を向く。

「あ…帰らせた」

何しに来た?と聞きた気な顔をするので答えた。

「思い出話しに来た」

あたしは羽瑠より二段高い所に座り、空を見た。

降っていた雨が止んだらしく、アスファルトに染み込んだ匂いがする。

雲の切れ目からは朝日がまだ覗いていた。

「…料理が超下手で、小学校で一年に一度必ずある遠足が憂鬱で仕方なかった」

「いきなり悪口みたいな事を」

羽瑠は話し始めた。