そんな顔って?

「良壱の方が疲れてるでしょう?少し寝た方が良いよ」

「…おい」

「あたし、行かなくちゃ」

「那瑠…泣け」

痛いくらいに掴まれた腕に…あたしは泣いた。

「…死にそうな顔してんな」

そんな顔してない。

けど、ずっと泣いてた。

声を上げて泣いた。

「疲れた…」

泣く事に疲れたあたしに一緒に睡魔も襲ってくる。

良壱の胸にスリ寄り、その香水の香りを吸い込んだ。

「寂しい」

「あぁ」

寂しさは埋まらない。

もう冷たくなってしまった人を埋める事はもう出来ない。