背中に腕が回った。

これから、羽瑠もだけど色んな準備がある。

何かが抜けたような。
何かが欠けたような。

「…用意…しなくちゃ」

暖かい腕の中から立ち上がり、フラフラと抜け出す。

「まだ、大丈夫だろ」

あたしの腕を掴んだ良壱は、悲しそうな疲れているような顔をしていた。

「まだ…ここに居ろ」

親族ではないのに、ずっと夜中ついていてくれたんだ。

早朝に亡くなったお母さん。
眩しい朝日が窓から入ってくる。

「…そんな顔してるくらいなら泣けよ」

切ない声で言うから。