「もう帰ろう。帰ってサッサと寝れば、忘れるだろう。」

そう考えて俺は、教室に鞄を取りに向かった。

その途中、二人組の男子とすれ違った。



「なぁ。槙野ー!茉利って女どうなった?」

...槙野?

アイツが...
槙野なのか。

槙野は黒髪に眼鏡で爽やかそうな男だった。
茶髪な俺とは大違い?って思った。
あの言葉を聞くまでは。



「あー!実はさ、使える人間見つけてよ。ほら、茉利と同クラにいる小林っていう女なんだけど...」

「あー!はいはい!あのチビね!」

...。

「そっ。そいつに優しく接して、茉利には小林の方が好きになったって言ったら、茉利のターゲットが小林になってさー。これで俺は自由の身?」

「ぎゃははは!お前、そりゃ最低だろー!」

...。

ブチッ!
俺の頭の中で何かがキレた。

そして、俺は槙野に近付いて、思いっきり殴った。

槙野は、殴られた勢いでその場に倒れた。

「いってぇな!お前、何するんだよ!」

槙野は俺を睨んだが、俺も負けじと槙野を冷たく見下ろした。

「アイツが受けた痛みはこれっぽっちのもんじゃねぇよ?」

俺はそれだけ言うと、すぐにさっきの場所に戻った。