先輩が急に、
真剣な顔を見せるから……
「お前はなんかじゃない。…俺は、やっぱりお前のこと好きだから。
…忘れないで」
先輩の腕の力がゆるんでるのに、そこから動くことはできなくて。
スルリと先輩の指に絡んでいく髪を見ていた。
先輩の両手が髪を巻き付けたとき、あたしはとっさに「キスされる」と思って首をすくめた。
でも、きつく結んだ唇には何も触れなくて。
額に、かたい何かがぶつかった。
目を開けて見ると、
あたしの額には先輩の額がついていた。
目を閉じた先輩、
なんだか、
なんでか、
少し不安を感じた───