どこか遠い目をした先輩のお母さんに、少しだけ不安を覚えた。





「目を、覚まされましたよ。」



看護師さんが廊下に出てくる



あたしはお辞儀をして、帰ろうとした。

「あ、あなたも……」



「すみません、もう帰ります。」



「そうなの?…ありがとう」





あたしはまた、お辞儀をして
自分のうちに帰った。





自室に入ってドアを閉めた瞬間……

涙が出てきた。

「……や…だぁ……」



思い出したくない。
思い出したくない。
思い出したくない……