ロッカールームには、汗の匂いとバスケ部員達の荒い息が充満していた。



「差し入れでーす。」

チラッと顔を覗かせると、何人かの……何十人かの部員が振り返った。



「…君……は、」

「あ、すみません!女バス1年の、斉藤浅葱です。」



「いや、知ってるけど……」

「はぁ…?」



今、意味不明なことをあたしに向けて口にしている人は、2年の前田咲人(マエダ サクト)先輩だ。…たぶん。





たしか前田先輩は男バスの副キャプテンをしているはずだ。