病室に連れ添って行くと、藤沢先輩は、ぼーっと天井を眺めていた。

まだ、麻酔で頭が働いてないんだと思う。
今にもまた、寝てしまいそう。


「常磐、、、」

お母さんが近づくと、藤沢先輩は少し恥ずかしそうに笑った。

仲のいい、親子なんだなぁって、わかった。

あたしは、その場を去ろうと、静かに病室のドアを開けた。


「浅葱ちゃん?」

「あ…はい」

「ちょっと、家から着替えとか持ってきたいの…常磐に、ついていてくれる?」

「は、はい!」


お母さんが出ていくと、藤沢先輩は、ふぅ…と息をはいた。

「俺さ…」

「はい」

「バスケ、できるかな…」

あたしの手に、その手を絡ませながら、不安そうに、呟いて…


藤沢先輩はまた、眠りに落ちた。


「…っ!!!」

あたしは絡ませられた手をぎゅっと握りながら、なにも言えずに、泣いていた。