「こんなことに、なる前に、もう二度と、あの子は…っ!」
涙をいっぱいにためたお母さんの目を見た瞬間、あたしはつい、目の前の、大切な人のお母さんを、抱きしめていた。
「きっと大丈夫。藤沢先輩だもん、大丈夫ですよ」
どんどん不安になっていく。
いつの間にか、あたしまで涙を流していて、二人でベンチに腰かけていた。
せめて、命だけでも無事でいて…。
あなたは、あたしの特別な人なんだから…
泣きつかれたのか、大人でもやっぱり眠くなってしまうのかな。藤沢先輩のお母さんは、あたしの肩に寄りかかって寝てしまった。
あたしも、それを支えながら少し、ぼーっとしていた。