病院につくと、かけつけたお母さんと再会した。
「お母さん、緊急手術に入ります。よろしいですね?」
医師の問いかけに、藤沢先輩のお母さんは迷ったような顔で、頷いた。
手術室の前で、あたしたちは待っていた。
「あなたは…この間も常磐が発作を起こしたとき…」
「あ、、、はい」
あのときは、まだ先輩のこと、嫌いなだけだったんだけど…
「あの、実は、最近…から…お付き合いさせてもらってます。斉藤浅葱と申します。こんなときに、ごあいさつで、ごめんなさい…」
立ち上がって、頭を下げるあたしに、藤沢先輩のお母さんは微笑んだ。
「やっぱり…。あの子最近とても楽しそうだったのよ。良かったわ」
藤沢先輩のお母さんは少し、遠い目をしながら言った。
「もう、お医者さんに言われた回数だけ、発作が出ちゃったわ…やっぱりバスケなんて、無理矢理にでもやめさせればよかったのかしらね」