「翔兄さん」
そう、最後に呼んだのは、いつだろう…
幼なじみとして、あたしは翔兄さんが好きだった。
小学生のころ、彼がミニバスのチームに入ることがきっかけで、あたしもバスケを始めた。
「しょうにいさんがやるなら」
中学の部活を決めるころには、あたしはすでにバスケにぞっこんで、翔兄さんがいることすら知らずに入部した。
翔兄さんがいることを知ると、嬉しくなって、さらにバスケを頑張るようになった。
それを見た周りの人は、もちろんあたしが翔兄さんに想いを寄せているんだと信じていた。
…実際は、逆だったのだけど。