自然に火照る頬を資料で扇ぎながら、あたしは体育館に戻った。

「「おそーい!」」

ニヤニヤしながら恵先輩と梨子が言った。


「ごめんなさい…」

てか、あたしのせいじゃないんですけど。


みんなの輪のなかに入ると、梨子がコソッと耳打ちしてきた。

「恵先輩、藤沢部長が最近あまりにキレてるからって、浅葱を派遣したみたいだよ?」

「なんであたしなのさ」

「当たり前でしょ?藤沢部長が浅葱を気に入ってることなんて、バスケ部なら誰でも知ってるんだから」

「えぇー、とばっちりにあったんだけど」