馬野くんは、微笑みながら未だに椅子に座らないあたしを振り仰いだ。

「だから、おめでとう」

「あの…なにが?」


お祝いされるようなことがあっただろうか。

しばらく、あたしと馬野くんは、お互いの目をそらさないまま身動きをしなかった。

………ハァ。

え?!

今めちゃくちゃため息聞こえたんですけど!

「なんなのさ」

ストンと椅子に座ると、今度は、色白で細めで、きれいな顔が近づいてきた…いや、超至近距離にきた。