「誰が泣かせたって?ん?」

にょきっと顔をのぞかせたのは、前田先輩。

びくっとしたあたしに気付いたのか、梨子があたしの手を握った。

「前田先輩こそ、知りませんか?藤沢先輩と部屋一緒でしょ」

「それがねぇ、あいつ、夜遅くに帰って来たと思ったら、すごく機嫌が悪くて、、、あ」

あ?

振り返ると、黒いオーラを放った先輩が立っていた。

またしてもびくっと反応したあたしは、一瞬膝の力が抜けたことに気が付かなかった。