「あれ?斎藤じゃないか!」

「あ、おはようございます」

そこに立っていたのは、紛れもなく藤沢先輩で。
あたしに声をかけたのは、前田先輩だった。


あたしは、泣きそうになるのをこらえながら、7往復目を開始した。

「朝から偉いな」

前田先輩の言葉にも、首を振るのが精一杯で、あたしはとにかく足を動かした。


藤沢先輩は、やっぱりあたしを見ていない。

別にいい。

見なくていい。