「浅葱!…わかったから」
「何がですか」
「もうふざけない。俺達は付き合ってない。」
「当然ですよ」
「あら?付き合ってないの?」
ダイニングでくつろいでいた馬野君のお母さんが、驚いたようにこちらを見た
「まさか!なんであたしが…」
「嫌いなの?」
「え?」
「だから、この彼のこと、嫌い?」
「あ、いや、、、」
なぜか言葉に詰まってしまった。
嫌いかと聞かれると、そうとは言いきれなくて…
「当たり前じゃないですか。嫌ってるからこそ、この態度なんでしょう」
さらっと藤沢先輩が言葉を返す。
───ツキン…
何かが胸に刺さった感じ。
言葉にならない微かな痛みが、あたしの体内を駆けた…