顧問が、満足そうに頷いている。

梨子の才能は、この部活の中でもダントツ。

無駄な動きはないし、本当、すごい。



前半戦の終了を告げる笛。



汗だくのあたし達に、今度は男子が差し入れをしてくれる。



「斉藤!」

「斉藤さん!」

「浅葱ちゃん!」



いや、そんなにたくさんこられても、困るんだけど。

とりあえず、一番近くに伸びていて、とりやすいと思われたタオルに手を伸ばす。


「ありが……」


言った瞬間、タオルが離れた。

ん?

いや、タオルを持ってた人が後ろに倒れた?