まだまだあたしの頭を駆け回るあの記憶。

今思えば、実は初恋というものだったのかもしれない。



でも…

あたしはそれを認めるわけにはいかないんだ。



「じゃあ、さ。」



先輩がクルリとあたしの目の前で振り返ると、少しはにかんで言った。


「付き合って、とか言わない。我慢できるとこまでするから、俺を信頼してよ?」

「え…?」

「馬野だけじゃなくてさ、俺を、頼ってよ」



ね、とまっすぐにあたしを見下ろす先輩に、あたしは頷くしかできなかった