閑散とした通り｡白服のﾒｲﾄﾞと黒服のﾒｲﾄﾞは互いに睨み合っている｡ﾋﾟﾘﾋﾟﾘとした睨み合いに､僕は動けずにいた｡いや､動けずにいたという表現はおかしい｡正確には､動けなかっただ｡睨み合いがきつすぎてだ
｢まぁ､いいわ｡とにかく､そこを退きなさい｡私は､そいつを殺すんだから｣
｢断る｣
彼女は睨み合いをしつつ､僕の腕を掴んだ
｢それに､今のお前にこいつは殺せない｣
確かに｡あの白服のﾒｲﾄﾞの鋏は壁にめり込んでいて､中々抜けそうにもない｡黒服のﾒｲﾄﾞは勝ち誇ったように､微かに笑んだ
｢だろう？｣
そう言った後､その場を逃げ出した｡急に動き出したので､僕は驚愕した
｢え､ちょっと､待っ………｣
逃げて行く時､僕の背後から｢覚えてなさ――い｣という言葉が聞こえた