僕はごく普通の高校生だ。普通に高校に行き、普通に授業を受けて、部活はしてないけどバイトはしてる。普通の高校生なのだ。今日も放課後残っている帰宅部のクラスメイト達と、適当に挨拶を交わしつつ、シューズを履き替え、そのまま真っ直ぐ校門を目指していた。帰宅する時間帯になると、朝の少女の発言は僕の頭から、すっかり消え失せていた。ふと、校門前に人の輪郭の線が見えた。門柱に隠れていて輪郭の線しか見えないが、誰かが誰かを待ってるみたいだ。人混みに紛れていたが、その人物だけやけに他の人とは違うオーラを放っていた。僕が何の気なしに、その人物の前を通ると、
「顔認識適合率、100%。体格認識適合率、98%。同一人物と確定」
と、呪文のような言葉を呟いた。そして、
「止まれ!そこのお前!!」
と、大きな声を出した。その声は辺りによく響いていて、僕の他にも三、四人は止まって振り返っていた。その人物は足早に僕に近付くと、僕の全体を真剣な面持ちで観察し出した
「………間違いない」
「?」
その人物は僕にピタリ、と人差し指を突き付けると、
「貴様を殺す」
「……へ?」