「行ってらっしゃいませ。奈美さま、優稀様」



奈美ちゃんの運選手さんに見送られ私たちは教室へと向かった。


「では、今日さっそく彼方に告りに行くんですわね?」



「い、いや、そこまで言ってないから…ただちょっと彼方と早く会いたいなぁと思っただけだし、それに告白なんてまだ早いよ!」



「優稀ちゃん、そんなことをいっていたらどこぞの令嬢に彼方を取られますわよ!」


「いやでも、あいつ変態だし…」


「変態でもあの人は顔だけはいいですからたくさんの女性に言い寄られていますわ。
あちらをご覧になって」




そう言って奈美ちゃんはグランドの方を指差した。

その先にはたくさんの女の子に囲まれている彼方がいた。

しかも完璧な王子スマイルで…



「ま、まぁしょうがないよ…あいつは私のことこれっぽっちも好きじゃないんだから…」


「ゆ、優稀ちゃん!気を落とさないでください。大丈夫、彼方はちゃんと優稀ちゃんを
見ていますわ」


「そ、そうかな…」


「えぇ!幼馴染の私が言うんですもの!信じてください」


なんか奈美ちゃんの言うこととかって結構気合入るんだよね…


「うん。そうだといいな」


「そうですわ。優稀ちゃん、その意気ですわ。では放課後彼方の所へ行く前に私の家に
寄っていただけませんか?」


「え?なんで?」


「私がちょっと優稀ちゃんに魔法をかけるためですわ」


「は?」


魔法って…

奈美ちゃんの頭はそんな空想世界が広がっていたのね…

さすがお嬢様!