「優君の手、熱いんだもん」



そういえば、優君は「ごめんね」って
撫で続けていた手をどけた。

それを、名残惜しく感じながら
視線でその手をおった。




「あっ!優、うたに近づくな!」



思い出したかのように
お兄ちゃんが私を優君から
引き離す。



もうその頃には、
優君は夢の中の優君ではないと
理解していて、
優君はきっと熱があるんだ。
だから、優君に会えなかったし
だから、今の優君は王子様じゃなくて・・・





だから、お兄ちゃんもいなかったんだ。