優君?


・・・優君のはずはない。
だって、優君は王子様だもん。






きっとこれは、夢だ。






「どうした?うた」

お兄ちゃんがこちらによってきて
私の顔を覗き込む。

「お兄ちゃん。
 うた、まだ眠ってるみたい。
 だって、優君、王子様じゃないもん。」


夢の中の優君には聞こえないように
お兄ちゃんの耳元でぼそぼそと話す。


「はぁ?」


お兄ちゃんは、わけがわからない様子で
頭をかしげた。

もう一度、優君に目をやれば、
やはり変わらない様子で
王子様には見えない。