「はあぁ…」


テレビの前のソファーに座ってため息ついた。


卒業する事に集中って言われても、無理だよぉ…。


今以上に逢えなくなるもん。



「あれ、理恵どうかしたの?」


出勤前の服装チェックを終えたお母さんが私の隣に座った。

綺麗にメイクされてて、香水が香る。


「ん…二年の女子に見られたの。

先生の車に乗る所。
それを言わない代わりに、先生に取り入るなって言われた。
その子も先生の事、好きなんだって…。
どうしよう、お母さん。

先生と別れたくないよぉ…」


「大丈夫よ。
でも、どうにかしないとねぇ。

お母さんに任せて?
とっておきの策を考えてあげるから。

わあっ、もうこんな時間だぁ。

それじゃあ行ってくるから、戸締まりちゃんとするのよ?」

バッグを持って、慌ただしく出掛けて行った。